「自分がやった仕事を名前を書き換えられて持っていかれた」
1:男性に比べて仕事の機会に恵まれなかった50代女性
21世紀職業財団では、2019年に、「女性正社員50代・60代におけるキャリアと働き方に関する調査* 」を行いました。
(*50歳時に300人以上の企業に正社員として勤務しており、現在も正社員として勤務している定年前の50〜64歳の男女と、50歳時に300人以上の企業に正社員として勤務しており、現在働いている定年後の60〜64歳の男女、計2820人を対象として調査を実施)
職場でこれまで経験したことがあるものについて、50代男女の違いを比べると、仕事の経験に大きな違いがあることが明らかになっています。
違う部門への異動(男性総合職 59.7%、女性総合職 36.7%、女性一般職 43.8%)
転居を伴う国内転勤(男性総合職 30.5%、女性総合職 5.0%、女性一般職 5.2%)
出向、転籍(男性総合職 31.8%、女性総合職 9.3%、女性一般職 13.5%)
海外転勤(男性総合職 3.8%、女性総合職 0.8%、女性一般職 0.8%)
「違う部門への異動」など上記の項目に該当する機会が1つもなかったと回答した女性総合職は25.5%、女性一般職は25.0%とほぼ同等になっており、男性については16.1%です。総合職、一般職問わず、男性に比べて女性は、結果的に、異動や転勤など多様な経験を積む機会に恵まれなかった割合が高かったといえます。
インタビュー調査の中では、50代女性から下記のようなコメントが得られました(一部抜粋)。
「男性の縦社会ですから、自分がやったことを、名前を書き換えられて持っていかれるということが、まあまあ、あったのではないかなと思います」
「入社時から出る杭は打たれると言われてきた。今思えば、与えられてやるのではなくて、もっと若い頃に、出しゃばってでもやる、それは私がやりますみたいなことをすれば良かったのだなとは思うですけれども、できなかった」
「男性優位の会社なので、もう少し自分が前にいける、もっと上にいけるとか、もっと頑張れる、職位とかではなくて、こんなこともできるし、やってみたいと思っているけれども、なかなかやりづらいというか。萎縮してしまうところはすごくあった」
法律ができた当時は、働く女性が徐々に増え始めた頃ではあるものの、多様な経験を積むチャンスは男性と比べて少なく、女性自身も遠慮をして自分のやりたいことを言いづらかった状況がうかがえます。