「606号室」は幸運、「401号室」なら縁起が悪い
家庭や地方によっても習慣は異なるので一概にはいえませんが、中国人は少なくとも、日本人よりも数字に対するこだわりがかなり強いといえます。
私の家の近所でマッサージ店を営む中国人の男性は、母親の80歳の誕生日に合わせ、吉林省に帰省してパーティーを開く予定でした。ですが、仕事の都合で誕生日当日の16日には間に合いそうもない。そこで、親戚と相談して「縁起のいい18日に変更した」とうれしそうに語ってくれました。
別の中国人の友人は、会社が手配した引っ越し先の部屋番号が「606号室」だったことに「自分の幸運を感じましたよ」とガッツポーズ。「8ほどではありませんが、6も中国ではとてもいい数字ですからね」と喜んでいました。
上海に住む友人は「66歳の誕生日には、細かく切った66切れのお肉を食べるという変わった習慣もあります」と教えてくれました。
一方、別の友人は日本で「401号室」に住んでいたところ、中国人の彼女から「縁起が悪いわね!」と叱られ、急いで引っ越しの準備に取り掛かったと苦笑していました。
2や6、8など偶数が好まれる
数字の縁起を気にする日本人ももちろんいますが、中国人がこれほど数字にこだわることは、日本では「中国関係者」以外にはあまり知られていないのではないでしょうか。逆に中国人からすると「中国人と日本人は似ていると思っていたが、案外、そうではないところも多い」と感じるようです。
『中国人は見ている。』で紹介していますが、中国人の友人によると、中国でいい数字とされるのは「2、6、8、9」など偶数が多い。「2」は対(つい)であり、シンメトリー(左右対称)が好きな中国人にとって好ましい数字。「6」は「流」(なめらかに、という意味)と同じ発音で、「六六大順」(うまくいく、順調)に通じます。
「8」は「発」と発音が似ていることから「発財」(財を成す)につながり、「財運に恵まれる」「発展する」などの意味の、中国では最もいい数字になります。北京オリンピックが開幕したのは、2008年8月8日、午後8時8分でした。その当時の報道が記憶にある、という人もいるでしょう。
「8」はあまりにも人気があるため、自動車のナンバープレートや電話番号などでも争奪戦となり、価格が高騰しました。日本に住む中国人の友人が持つ電話番号には「6」や「8」が並んでいたので聞いてみたところ、「日本では数字にこだわる人が少ないですね。だから300円の追加料金だけで、私はこんなにいい電話番号を選べちゃってラッキーです」と喜んでいました。