若者と新しいコンサートシーンを創り出したい

戦後すぐの時代にN響の事務長をつとめた前述の有馬大五郎さんなどは、今考えてもオーケストラマネージャーとして相当優秀な方だったと思います。しかしそれも、当時の日本では、クラシック音楽がまだ黎明期にあったから実現したことだったのかもしれません。

大友直人『クラシックへの挑戦状』(中央公論新社)

もちろん、今、クラシックのマネジメント側で働く人々の多くは、音楽を愛し、本物の音楽を届けようと試行錯誤しながら勇気を持ってこの困難な世界で努力を重ねているすばらしい人たちです。

本当に実力のあるアーティストを育て、価値のある演奏会をつくるにはどうしたらいいか。もしかしたら、すでに何かしらの固定観念に縛られている自分に近い世代の人に、変わらないといけないと伝えるより、次の時代をつくる若い人と議論を交わしていくほうが近道なのではないかと最近は思っています。中学生や高校生のような若い世代に、知識や社会観、自分が理想とする音楽観を伝えたり、議論してみたりすれば、そのなかから次の時代を担ってくれる人材が生まれるかもしれません。

目を凝らして若い才能を見つめて、新しいコンサートシーンを一緒に創る人を見つけ出したい。異論を唱えて、向かってきてくれるくらいの人材のほうが、私はむしろうれしいです。こちらが打ちのめされて、負かされたってかまいません。まだ私にも戦う気力はありますから。創作意欲、夢と希望にあふれる10代や20代の方と一緒に物づくりをしたい。今はそんなことを夢見ています。

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