開発・製造はニチレイフーズが行っている
からあげクンは30年以上も前、どのようにして誕生したのか? 開発・製造を担当し続けているニチレイフーズの広域営業第一部長、太田崇は、80年代のマーケットの様子をこう話す。
「1980年前後、鶏のムネ肉はパサパサしていると消費者にあまり好まれていませんでした。とはいえ、高たんぱく質で低カロリーです。食べやすさや味付けの工夫次第でもっと好きになっていただけるのではないかと、社内でいろいろと開発を進めていたのです」
ローソンとタッグを組む前は、スーパーや弁当チェーン向けにから揚げの“代替品”のようなイメージで販売をしたという。でも、「鶏ムネ肉のから揚げ」は、なかなか定着しなかった。マクドナルドのチキンマックナゲットが全国販売を始めたのは84年。「鶏ムネ肉のから揚げをつまむ文化」は、日本にまだ定着していなかった。
「ですが、ローソンのご担当者から“スナックタイプのから揚げがほしい”とお声がけいただき、からあげクンの販売がスタートしました」(太田)
ローソンは、コンビニ業界の先陣を切って、79年に店内にフライヤーを設置していた。当時販売していたのは「アメリカンドッグ」「ジャンボフランク」と、子どもや男性にウケそうなものばかり。コンビニという業態が「若い男性の店」だった時代性がよくわかる。
パッケージが「おやじ」から「妖精」に
「フライヤーを置いたのは、できたてのおいしさをお客さまにご提供したかったからです。その中で当時の担当者は、まったく新しいスナックメニューを世に出したいとニチレイフーズさんと組んだのでしょう」(友永)
当時は若者ウケをねらって英字がプリントされたおしゃれなパッケージだったが、実はニチレイフーズ社員が「英字新聞を折って作った」ものだったという。微笑ましい話だ。
それが90年に「おやじイラスト」のパッケージになる。思えば平成に突入していた90年は、バブル崩壊前夜だ。イケイケのサラリーマンをねらってのデザインだったのかもしれない。そして、2003年に今の「ニワトリのように見えて、実は妖精のキャラクター」へと変わっていった。このキャラクターになったのは、たしか加盟店らの投票で決まったと記憶している。かわいらしくて、一層、子どもや女性ファンが増えた。