ファンを巻き込む力を持っている

その他、爆発的に売れたものは、2011年に日本唐揚協会監修で作った第1弾「宇佐しょうゆダレ味」、第2弾「名古屋手羽先ダレ味」、第3弾「中津しおダレ味」や、12年、100種類目のフレーバーを記念して出した、食べるまで味がわからない「?はてな味」といった“企画モノ”だそうだ。

「はてな味は、社内でも正解を数名しか知りませんでした。でも、すでにツイッターが普及していた時期で、『これ、カルボナーラ味じゃん』←正解。とか出回ってしまい、瞬く間にバレてしまいましたね。こうしていろんな企画をしても、お客さまがおもしろがってノッてくださる。からあげクンの強さは、ファンを巻き込む力なのかもしれません」(友永)

確かにそうだ。ローソンが得意とするSNSで情報発信すれば、必ず予想以上の反響が湧く。販促担当も、さぞ楽しいだろう。2019年6月末現在、からあげクンフレーバーは258種以上にも上っている。

「カレー味」を即撤収した理由

しかし、こんなに多くのフレーバーを作るニチレイフーズは大変だったろう。

「新たなフレーバーを作り出すのは困難の連続ですが、からあげクンは弊社にとって、ローソンさんのお店を通じたお客さまとの絆として大変重要な存在。これからも新しいことに挑戦したい。直近は、限定販売フレーバーの幅がさらに広がり、最近では那覇空港限定A1ソース味(17年)、新千歳空港ガラナ味(18年)など、珍しい味も出しました」(太田)

こうした作り手のプライドはもちろん、ローソンの店と本部が一体となって楽しもう、盛り上げようとする姿勢が、長年、からあげクンを高く羽ばたかせている原動力だろう。

“からあげクン史”は、これだけではない。決して順風満帆ではなかったことも正直に残しておきたい。失敗も多々あったそうだ。超がつく売れ筋のため、新作フレーバーがコケた時、社内に走る衝撃はハンパない。

「最初の大失敗は、まだチーズが定番になる前、カレー味を出した時だと聞いています。衣にカレー粉を混ぜたわけですが、揚げると店内にカレーの匂いが充満してとんでもないと、即撤収したそうです」(友永)