直美は精神的につらい時にはよく散歩をしていた。座間事件が発覚する2週間ほど前の10月中旬の夜も気分転換に外を歩いていた。この時、見ず知らずの男に車内に引きずり込まれてレイプされた。「警察にも被害届けを出しました。(警察は)男の家に行ったようですが、知らないと言われたようで、まだ逮捕されていません」。こうした度重なる性被害体験が、彼女の自殺願望を強めた。

「今は、死にたいまま生きています。でも、20歳までは生きてないと思います。今年か、来年には死にたい」。こうした絶望感が、白石に引き寄せられるベースにあった。

被告との面会、「ネットナンパ師」の手口

私は、本書の冒頭で示したように、白石被告に面会した。面接は1回30分なので時間が足りない。2回目の面会に向かった。面会室「3」に通された。前回の面会では、白石被告はネットナンパ師のような印象を受けた。その続きから聞く。

――ネットナンパで出会えたのは?

「正直、学生時代には全然会えていなかったんです。月にひとり会えればいいほう。社会人になってからは1、2週にひとりですね」

――どうして会えるように? コツが分かった?

「そうです。それに、スマホの普及でアプリが出てきたからです」

――学生時代は出会い系?

「そうです」

――アプリは?

「SNSやチャットアプリです」

――よく使ったのは?

「ぎゃるる、です。位置情報を利用して近い人に会えるので」

――スカウト時代は?

「ツイッターを使ったが、その時は出会い目的ではない」

――出会い目的のアカウントは、事件に関連して使っていたアカウント?

「そうです」

警察庁発表の「SNS等に起因する被害児童の現状と対策」(平成29年)によると、SNSを通した被害者は1813人で過去最高だった。そのうちツイッターは695人で最も多い。ぎゃるるは97人、ひま部は181人、ラインは105人。ちなみに出会い系サイトは29人だった。白石は、被害児童が使っているアプリの中でも上位のものを使ったことになる。

――事件に関連するアカウントはいくつ?

「5つです。〔@_〕〔@sleep〕〔@さみしい〕〔@死にたい〕〔@首吊り士〕です。それぞれコンセプトが違います。日常生活の話をつぶやくもの、死にたいとつぶやくもの、自殺の情報や幇助ほうじょをしているとつぶやくもの、です」

――一番、人気のあったのは?

「〔@死にたい〕ですね。つながった人の半分以上はこのアカウントです」