赤ちゃんのときには「ハイハイ」で喜んでいたはず
私たちはともすると、優秀な兄弟や友達、いもしない理想の子どもと、わが子を比べてしまいます。それでは、子どもは苦しくなるばかり。比べるなら、過去のその子と比較して、前よりもよくなったところを見つけてあげてください。そうすればお子さん自身が自らの成長を確認でき、それが自己肯定感や自信につながってきます。
このことは、じつはみなさんやってきたことなのです。赤ちゃんのときには、「寝返りができるようになった!」「ハイハイできるようになった!」「つかまり立ちができるようになった!」など、お子さんの垂直の成長の中に喜びを見出していたはず。いつしかこの気持ちを忘れてしまい、他人との比較に躍起になってしまっているのです。
たいていのお子さん自身、自分の苦手なことはイヤというほどわかっています。それを親にまで言われたのでは、気持ちの持っていきようがありません。足が遅い子に向かって、「お兄ちゃんはリレーの選手だったのに……」「お父さんは小学生の頃、いつもアンカーだった」などと話したところで、その子にとってなんのプラスにもならないどころか、自己肯定感を大きく下げるだけです。
その子自身、何も言われなくても、「足が遅い」ということに関するコンプレックスをイヤというほど感じています。わざわざ周りが、それを言葉にする必要があるでしょうか。
「具体的に褒める」のが自信をつけるコツ
親ができることは、リレーの選手になれないことを嘆いたり、徒競走の順位を比較したりすることではなく、「去年より練習のタイムが上がってるね」などと、具体的に褒めることです。去年の100メートル走の記録をメモしておいて、それから何秒伸びたかなど、数字で伝えられるといいですね。
このように具体的に褒めると、子どもは容易に納得することができます。そのために必要なのは、お子さんのことをよく観察しておくこと。そうしなければ、小さな成長(でも、子どもにとっては大きな努力の賜物)に気がつかないかもしれません。
自己肯定感や自信をつけさせるために必要なのは、その子を垂直に比較し、向上している部分を見つけて、具体的に褒めることなのです。