外国人の同僚や部下が「いい仕事」をしたら、つい「グッジョブ!」と言いたくなる。だが、これまで20カ国以上・のべ5000人以上の外国人と働いてきた異文化人材マネジメント・コンサルタントの齋藤隆次氏は、「“Good job”は軽すぎる表現で、『まあまあだね』ともとれるニュアンス。ほめたいなら別の表現を使うべき」という――。

※本稿は、齋藤隆次『ビジネスエリートが実践している 異文化理解の全テクニック』(KADOKAWA)の一部を加筆・再編集したものです。

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「いい仕事したね!」とほめるつもりで、つい“Good job!”と言いたくなるが……(写真はイメージです)

日常会話ではよく使われるが……

皆さんご存じ、人気テレビ番組『開運! なんでも鑑定団』の中で、古美術鑑定家の中島誠之助さんは「いい仕事してますねぇ!」という決めゼリフを最上級のほめ言葉としています。では、この「いい仕事してますねぇ!」を英語で何と言うでしょうか。

この記事をお読みいただいている多くの方々は、おそらく“Good Job!”と答えるのではないかと思います。

たしかに、英語の直訳としては間違いではありませんし、アメリカでは子どもの教育における必須フレーズとしても頻繁に使われています。でも、この“Good Job!”という言葉、大人が子どもに対して使ったり、日常会話で軽く口にしたりする分にはいいのですが、大人同士が使う場合やビジネス上で使う場合、あるいは目上の人に対して使う場合は、決してほめ言葉にはなりません。

じつは、“Good Job!”を日本語の感覚をもとに表すと、「お疲れさま」「まあまあだね」「よくやったね」といったような、あくまで「軽い言葉」になるからです。

もちろん、ポジティブ・フィードバック(長所をさらに伸ばす考え方)の教育を受けてきたアメリカ人に対して、「ほめない」アプローチは論外でしょう。けれども、仕事におけるほめ言葉として“Good Job!”を使うのはそぐわない場合が多いのです。

たとえば、アメリカ人の部下が大きなプロジェクトを成し遂げたときなどに“Good Job!”という言葉を使うのは適切ではありません。「達成感があって、評価に値する素晴らしい仕事をしたはず」と本人が思っているのに、上司としての言葉が「まあまあだね」ぐらいにもとれる“Good Job!”ではあまりにも軽すぎて、その部下の気持ちに違和感が生じるのです。