課税所得の高い人ほど、よりメリットを受ける

つまり、本来の所得税である97万4000円に対して、20万1500円もの減額だ。つまり、同じ100万円の医療費控除なのに、所得税が減る金額には10万1500円もの差が出た。数学的な観点から説明すると、所得控除は税率の高い部分の課税所得を減らすため、課税所得の高い人ほど所得税が減る額が大きくなり、よりメリットを受ける。

ところで、所得税の控除には所得控除のほかにもう1つある。課税所得に税率をかけて計算した所得税から直接控除する「税額控除」がそれだ。ビジネスパーソンにとってお馴染みの「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が、その代表である。税額控除は所得税から直接引かれるので、課税所得の多い少ないに関係なく公平といえるが、見方によっては所得の低い人が有利とも考えられる。

所得税40万円のCさんと、同10万円のDさんを例に見てみよう。ともに10万円の住宅ローン控除を受ける場合、Cさんの最終的な所得税は「40万円-10万円=30万円」、Dさんは「10万円-10万円=0円」だ。元々の所得税に対する減額率は、Cさんが「10÷40×100=25%」、そしてDさんが「10÷10×100=100%」となる。つまり、税額控除の場合は所得控除のときとは逆に、所得の低い人ほどメリットが大きいことになる。

(構成=田之上 信)
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