お客様への反論も1分以内で
経営者や管理職がすべきこともある。訴求することを会社としてルール化して、全営業に徹底すれば、全体の成約率が一気に上がると、堀口氏は言う。
「訴求フレーズを会社単位でしっかりと決め、全営業で統一すること。さらに、訴求フレーズの長さは、すべて1分以内に納まるようにしましょう」
堀口氏は「『お客様との商談を1分で決めろ』という意味ではありません」と補足する。自己紹介や商品説明、料金説明、お客様への反論など、それぞれのトークを1分以内に収めるというのだ。
ダラダラと長い話を聞くのは、誰だって嫌なもの。特に営業トークは、聞き手が聞きたいと思って聞いていない場合がほとんどだ。その話が長いとなれば、聞くのも苦痛になり、商品のできにかかわらず、商談は失敗に終わってしまうだろう。お客様は長い話を嫌う。だからこそ、1分以内の短いフレーズで、ポイントをしっかりと伝えることが重要なのだ。
1分以内に話す方法として堀口氏が推奨するのが、AREA話法だ。
「AREA話法は、まず主張(Assertion)を述べてから、理由(Reason)を言う。そして、具体例(Example)もしくは根拠(Evidence)で説得力を持たせ、最後にもう1度、主張(Assertion)をする方法です。
これは、身近な人を褒めて練習してみるといいでしょう。たとえば、『○○さんはいい人です(A)。なぜなら、新入社員にとても親切だからです(R)。私が新入社員だったときも、とても丁寧に仕事を教えてくれました(E)。だから、○○さんはいい人です(A)』。これが、AREA話法を使った褒め方です。自社商品を売り込むのも同様です」
もし1分以内に収まらない場合は、Eの具体例・根拠を省略して『ARA』としてもかまわない、と堀口氏はアドバイスする。1分以内に話すことを優先して、まずは練習してみよう。
そのほかにも、エレベータートークという方法もある。エレベーターで1階から10階まで上がる短い時間に、言いたいことを全部言い終えることができるように、話す内容を事前に準備し短くまとめておくのだ。この方法を使って、営業に絶対必要となる自己紹介を、1分以内で作っておきたい。
「簡潔に話すためには、最初から言うべき内容を『台詞』として決めておくことがとても重要です」