僕はネクラなアラサー編集部員だ。同期の飲み会は誘われてもいつもギリギリ最後に誘われるし、上司から呼ばれるときも「くん」の敬称が僕だけ取れない。そんな僕が、笑いを取る方法を教える研修への参加……。嫌な予感しかしない。
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ビジネスに効く即興演劇テクニック

「結城くん、今日こんな研修が行われるのですが、行ってくれませんか」

2019年11月の初め。上司から1枚の紙を渡された。そこには「『お笑い』+『インプロ』30秒スピーチで笑いを取る方法」とある。僕は少しムッとして「でも、これって僕が面白くないって……」と言ったら、被せ気味で「そんなんじゃない」と否定された。

「今度の特集企画のネタですよ。誰もそんなこと思っていません。なっ?」

上司が周りに同意を求めた。近くにいたオシャレボーイの後輩、松本だけがこちらを一瞥し「もちろんっす!」と言う。

「インプロというのは、打ち合わせや台本のない『即興演劇』のことです。取材経費も出ますし、冷やかし半分でいいですから行けませんか」