人は一人一人、各脳番地の成長度合いはもちろん、経験や興味、関心も違います。だからこそ、「面白い」と感じる脳のツボは、本当に人それぞれだと言えます。

相手の脳をいかに刺激するべきか

脳番地が成長すると、脳の中に「道」ができます。道が増えれば増えるほど、脳が「面白い」と反応するエリアがどんどん広がっていく、とも言えます。人間の脳は1度でも成功体験をすると、それを再び使いたくなる性質を持っています。勉強やゲームの原理と一緒で、1度でも高得点を取ると、次もまた取りたくなる。つまり、面白い体験をして脳が働くと、脳内に新たに道ができて、それをもう1度使いたくなるということです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Drazen Zigic)

大前提として、脳が「面白い」と反応するには、脳を新鮮に保つことが大事です。そのためにも私は、常に感性を研ぎ澄ませておくように、日常生活をマンネリ化させないよう意識しています。いつもの場所とは違うところで仕事をしたり、打ち合わせをしたり、時間を変えたりというのは、簡単にできることですよね。

もし「この人の言うこと、面白くないな」と感じながら話を聞いていたとしても、少しでも「面白い」と引っかかるところはないか、真剣に探しています。脳は正直ですから、「面白くない」と感じると脳活動が停滞してしまうんです。僕は人と対面する時間をムダにしたくないので、相手の話がまったく面白くなかったとしても、「僕の脳を反応させるためにはどうすればいいんだ?」と考えて、自分の「面白い」と感じるツボにいかに反応させるかを探らずにはいられないのです。脳の専門家だからそこまでしてしまうのでしょうけれど。

相手に「面白い人だな」と思ってもらいたいなら、相手の脳を反応させる必要があります。「この人の話は面白い」と感じているとき、相手の脳は確実に働いています。そのときに大事なのは、8つある脳番地のうち、相手のどの脳番地が反応するかを考えること。

そのためには相手に興味を持つことが重要です。そうすると情報がどんどん集まってきます。必要な情報が集まってきたら、その人に必要なことが言えるはずです。

加えて、言葉を発するタイミングも狙うこと。「面白い」と感じさせるにはタイミングも重要です。タイミングを外してしまうと、脳の反応が起きません。目や耳で相手が今「面白い」と感じているのかいないのか判断し、適切なタイミングで狙った話を展開することが大事です。「これは面白いと思ってもらえるだろう」と思って用意したネタであっても、時に相手の反応を見て肉付けを変える必要があるかもしれません。

最大限の情報を使って、最適な言葉を使い、最適な行動をすることが、相手に「面白い」と思われる近道ではないでしょうか。

単純明快! 脳が反応すれば「面白い」、スルーすれば「面白くない」

(構成=池田園子 写真=iStock.com)
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