「基本はサービスを無料で提供し、一部の人には有料会員になってもらう、フリーミアムモデルです。また大学などをバナー表示する広告収入もあります。利用者が中高生であるため、広告主の求める層に届くということで、高い媒体評価をいただいてます」(内藤氏)

授業の質が高まって、無料会員が増えるほど、有料会員や広告収入の増加が見込める。サービスを始めた当初はWebサイトでライブ配信し、サーバダウンなどのトラブルが起きていた。しかし翌年、アプリ化したことで配信が安定し、一気に会員数が増加した。

学習する学生はSNSでつながる

アプリ化によって専用のSNS機能が充実したことも、支持を集めた一因だ。全国の生徒や教師と交流することが可能で、授業後はわからないことを教えあったり、勉強の成果を報告しあえる。昨今、一人で学習する学生はSNSでつながる文化があり、オンライン上でクラスのような関係が構築されている。

「ただし難しいのは、他のフリーミアムモデルと違って、利用者=課金者ではないこと。お金を払うか決めるのは生徒の保護者なので、そこに訴求する必要があります」(同)

オンライン授業を覗いた保護者に認めてもらうため、注力しているのはコンテンツをわかりやすく制作することだ。「わかりやすさ」と「授業の短さ」は一致すると考えており、講義時間は15~25分単位。要点を整理し、人の集中力が持続するギリギリの時間に内容を凝縮するよう、工夫を凝らしている。

また授業中、授業と関係ない書き込みがあまりにも多いと、やる気のある生徒が集中できず、サービスの評価が落ちる。そこで、ふざけすぎた話にはスタッフが注意したり、デザイン機能に娯楽性の高い要素を入れないなど、「真面目な勉強空間」を維持するように努めているという。

▼[現場の問題点]ITの理想と現実タブレットを配るだけではダメ

公立学校の学習用パソコン整備率が1位を誇る佐賀県。13年、武雄市では小中学生に1人1台のタブレット配布を決めた。しかし導入されると安価だったせいか、システムトラブルが相次ぎ、授業が停滞。それ以前には県立高校の全新入生に購入を促し、1台約7万円のうち、生徒負担が5万円になることが問題になった――。一部週刊誌が報じた混乱の一端である。

また小中学校の校長がトップダウンでタブレットを導入したところ、現場の教師が「自分たちがいるのに、どうして機器が必要なんだ」と反発。収納場所に鍵をかけて生徒に渡さず、教育委員会が視察に来るときだけ使わせる、という現場の声もある。機器が揃っても成功するとは限らない。明暗を分けるものは何なのか。

教育工学を専門とする、東京工業大学名誉教授・赤堀侃司氏は、失敗しやすい例として、「操作性が難しいこと」をあげる。