自分で説明できるレベルまで知識を身につける

——鉄緑会の岩田さんも、論述問題に対応するためには、全体像や歴史観に裏打ちされた「生きた知識」を身につける必要があるとおっしゃっています。根拠なく自分の主観や感情を述べても点数にはつながらない、ということですね。

【西村】論拠が不明だと、点数のつけようがありませんからね。その人の主観や感情を採点することはできません。ですから、たとえば歴史であれば、日本史も世界史もしっかり知識を身につけて、自分で説明できるようになるまで理解することです。

ただ、ひとつ気になるのは、名門指導会で指導してきたお子さんで、中学生や高校生になっても勉強ができる子はたくさんいますが、海外の国のことに関心を持っている子は非常に少ないことです。東大文系の歴史の記述問題では、予備校の対策だけでは対応できない世界の思想史や宗教に関するものも出てくるでしょうから、そこはしっかりと勉強しておく必要があるでしょうね。

できるだけ「じっくり深く読む」ことが大切

——私の知り合いに、東大志望の子どもを持つ母親がいるのでちょっと聞いてみたのですが、「日本史は好きでも世界史は苦手で、なかなか頭に入ってこないみたい」と言っていました。

『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』
2020年度からの新学習指導要領に合わせて内容が更新がされた『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 3大特典つき全15巻+別冊4冊セット』(数量限定)。「学習まんが 日本の歴史」ジャンルで3年連続売上ナンバーワンとなっている。

【西村】どんな勉強にも言えることですが、まずは身構えないことです。身構えないためには、できるだけ読みやすくてわかりやすいものから手をつけること。その点、『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』は、日本史と世界史の流れがひとつになった近現代史も3巻ありますし、イラストが豊富で楽しく読めるので入り込みやすいと思います。ただ、実際に読む時は、できるだけじっくり深く読むことが大事です。深く読むというのは、たとえば登場人物の名前や気になる出来事が出てきたら、どんな人物でどんな出来事だったのか確認したり、くり返し読んだりして、理解することです。

また、まんがを読んで身につけた知識を、ただ学びっぱなしにせず、日常生活の中で見聞きするニュースと関連付けて考えるようになると思考力も高まります。そういう積み重ねによるインプットの時期がなければ、記述やプレゼンでアウトプットすることはできません。日本や世界の歴史を学ぶことで、世の中の見え方も変わって考えが深まって、自分なりの意見を持てるようになれればベストでしょう。高校生でそこまでできればすごいと思いますよ。

(取材・文=樺山美夏 撮影=後藤 利江)
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