GSOMIAを破棄して困るのは韓国ではないか

11月22日、韓国の白髪の女性閣僚、康京和(カン・ギョンファ)外相が、名古屋市で開幕した主要20カ国・地域(G20)外相会合に出席するため、日本に到着した。

韓国の報道によると、康外相は来日にさきだって記者団にこう語ったという。

「私たちGSOMIAをいつでも終了して失効させられるという権利を留保している」

「失効できる権利がある」。日本政府が対韓輸出管理の厳格化の措置を撤回しなければ、GSOMIAを破棄すると考えを強く示したものだが、金国家安保室第1次長の発言と同様、日本政府を見下している。

ここで言いたい。GSOMIAを破棄した場合、一番困るのは韓国ではないか。北朝鮮は核・ミサイルの開発を止めず、ミサイルの発射はエスカレートする一方だ。文大統領の融和政策は効果を上げていない。アメリカの説得に応じなければ、米韓関係も悪化する。

この点について沙鴎一歩は、11月20日付で「『GSOMIA失効』で困るのは、日本でなく韓国だ」という記事を書いた。

国益をベースに交渉をまとめ上げるのが外交だ

これまで日韓両政府は外務当局の次官級による水面下での協議を続けてきた。しかし、韓国は日本の対韓輸出管理の厳格化をGSOMIAへの対応と同次元で捉え、一方日本は「輸出管理厳格化とGSOMIAとは別問題だ」と主張した。交渉は行き詰まり、日本政府内では11月20日の時点で、「破棄は避けられない」との見方が強まっていた。

ところが、である。翌21日、事態が大きく進展した。韓国が輸出管理厳格化をめぐって、WTOの紛争処理手続きを中断する意向を日本側に伝えてきた。韓国が折れてきたのである。

日本政府は厳格化を維持しながらも、協議の再開を決定し、韓国の顔を立てた。これが、韓国がGSOMIA破棄を考え直す大きなきっかけとなったのである。

水面下で交渉相手のすきや弱点を巧みに突きながらも、花を持たせ、最後は自国の国益を最優先に交渉をまとめ上げる。これこそ外交手腕である。日本政府の外交力の高さは評価すべきだろう。