小松菜を選別するのは中国やベトナムの若者たち

取材で訪れたある農家では5、6人の若者たちが収穫したばかりの小松菜を選別していた。黙々と作業に励む若者たちの1人に声をかけてみると、返ってきたのは「ニホンゴ、ワカラナイ」の言葉。みな、中国やベトナムなどから来た技能実習生だった。実習生たちが栽培した小松菜はその日のうちに出荷され、東京のスーパーに並ぶ。

実習生の様子を見守っていた農家の男性はこう話した。

「このあたりの農家の平均年齢は70歳ぐらいで、跡継ぎがいない家も多い。作業は実習生頼みなのが実情だ。実習生がいなければ農業は続けられない」

農林水産省のデータを見てみると、農業を主な仕事としている「基幹的農業従事者」の数は2010年の約205万人から2019年には約140万人と、この10年近くで60万人以上、率にして30パーセント以上も減少している。しかも、基幹的農業従事者のうち68パーセントが65歳以上の高齢者。平均年齢も2017年のデータで66.6歳となっている。

高齢化と担い手の減少が止まらない農業。そこで欠かせない存在になっているのが、海を渡ってきた若者たちというわけだ。