「批判されても乗り切れる」は国民を愚弄している
さらに朝日社説は批判する。
「もともと指摘されていた高級メロンなどを有権者に贈っていたとの疑惑は、10年前に朝日新聞や週刊朝日が報じていた。閣僚の人選にあたり、首相ら政権中枢に報告がなかったとは思えない。公選法違反の寄付行為の公訴時効(3年)を過ぎていることから、問題を甘く見たのではないか。批判されても乗り切れると判断したのなら、1強政治の慢心というほかない。自らに近い菅原氏を推したとされる菅官房長官の責任も重い」
菅原氏の疑惑はもともと朝日新聞が書いた特ダネだった。それを承知の上で閣僚に起用されたわけだから、朝日は悔しかったのだろう。安倍首相は「乗り切れる」と考えていたのだろうが、国民を愚弄している。
「規範意識の欠如が目に余る」と読売社説
10月26日付の読売新聞の社説も冒頭から「政治に携わる者として規範意識を欠いていた。辞任はやむを得ない」と厳しく批判する。見出しも「規範意識の欠如が目に余る」である。
読売社説は書く。
「菅原氏は、秘書が香典を渡した事実を認めた。翌日の葬儀には自ら出席し、再び香典を渡したという。その後、一つは遺族から返還された、と釈明した」
「国会では、菅原氏が十数年前、カニやメロンなどを有権者に送った疑いがあるとして、野党の追及を受けている最中だった」
「事実であれば、順法精神の欠如は明らかである。秘書に対する管理能力も問われる」
順法精神に欠ける菅原氏の問題は、公職選挙法違反という刑事事件に発展する事件と言っても過言ではない。
次の法務大臣は「政治とカネ」の問題を考えられるのか
最後に読売社説は指摘する。
「安倍内閣では、松島みどり元法相が自らの似顔絵の入ったうちわを地元で配り、辞任した。国民民主党の玉木代表は昨年、香典の支出のあり方が問題視された」
「議員は国民の疑惑を招かないよう、公選法の趣旨を踏まえ、公正な政治活動に努めねばならない。政治資金の透明性を高め、適切に運用することも大切だ」
政治資金の透明性を高めることは当然のことである。だが、「政治とカネ」の問題は絶えることがない。なぜこうした問題がたびたび起こるのか。次の法務大臣は森雅子氏(55)だ。森氏は、その点について考えられる人材だろうか。