東向きと西向きの「時差旅行」では成績が大きく変わる

マサチューセッツ大学医学部のシュワルツ博士らがメジャーリーグベースボール(MLB)の「成績」と「時差旅行」に関して調べたものだ。

MLBの19チームを対象に、その勝敗とスコア、時差旅行の有無、その方向についての関連の調査を3シーズンに渡って行った。ちなみにMLBがある北米地域は4つのタイムゾーンに分かれ、太平洋時間帯と東部時間帯では3時間の時差がある。

写真=iStock.com/anton5146
※写真はイメージです

その結果、ホームチームの勝率は平均して55.9%だったが、相手チームが直前に西向きの時差旅行をしていた場合、ホームチームの勝率は56.2%と、平均を上回った。ところが、相手が東向きの時差旅行をしていた場合、勝率が62.9%まで上がる結果だったのだ。相手チームの側に立つと、西向きの時差旅行直後のほうが成績が良いことになる。なぜだろうか。

「体内時計は時刻の進み方が“遅れる”ほうが体になじみやすいのです」

体内時計は前後ともに「1日約1時間」しか動かせない

8時間の時差がある東向き、西向き飛行をしたとしよう。たとえば今が午前11時だとして、東向き地域への飛行なら8時間後の午後7時。西向き飛行なら8時間前の午前3時になる。東向き飛行ではこれから活動したい時間に夜になってしまうが、

一方で西向き飛行ならいつもより我慢して起きていれば、ぐっすりと眠りにつきやすい。つまり東向き地域へは体内時計を前へ、西は後ろにずらすことになるのだ。中村准教授がこうアドバイスする。

「海外出張に行く時に数日程度の短期間であれば、現地での光をあまり浴びないようにして、体内時計は日本時刻のままにしておくといいでしょう。一方で数週間に渡るような長期の出張なら、現地での光(できれば太陽光)をしっかり浴びて、早く現地の環境にあった体内時計にしたほうがいい。

体内時計は前にも後ろにも1日1時間くらいしか動かせません。日本にいる時に、出張先の地域に合わせて毎日少しずつ早起き、もしくは夜更かしして、事前にずらしておくというのも一案です」