誰かの特別な存在になりたかったのかもしれない

もしそうだとしたら、私の担当ホストへの行動と、私の客の行動は、本質的にはほぼ同じということになる。だとすると、私も彼らも独占したい存在が手に入らない絶望的な状況下で、相手から振り向いてもらえるという希望を持ちたくなったのだ。人は希望が持てないと心がもたない。心を守るための防衛反応が『嫉妬』となり判断能力を狂わせたのだ。

過去を振り返ってみると、私がホストクラブに通っていたのは、誰かの特別な存在になりたくて通っていたのかもしれない。死にかけのさなか、病院のベッドの上で、そんなことを思い出している。

ある種の人間にとって『嫉妬』という感情をコントロールすることは、無理なのではないかと思う。これを読んでいるあなたは「ある種の人間」ではないかもしれないし、これから偶発的な何かに導かれて、「ある種の人間」になってしまうかもしれない。もしくは、この世の人間すべてがそうなのかもしれない。いまわの際になっても、わからないことだらけだ。

ただひとつわかるのは、今日も誰かが誰かの特別な存在になりたくて、歌舞伎町を訪れている。

(構成=網田和志 撮影=フクダタカヤス)
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