お金さえ払えば男性を独占できる場所

風俗嬢として働いていたときは、月に100万円単位で稼いで、そのほとんどをホストクラブで使う生活を送っていた。がん闘病中のいま、緑豊かで静かな病院にいるときでさえ、あのギラギラした人工的なシャンデリアの灯りが懐かしくなる。

元風俗嬢・ライター せりな氏

私は、ろくに仕事もせず外に女をつくっては家出を繰り返す父と、離婚を先延ばしにする母という機能不全家庭で育った。だから、家や学校といった普通の世界に居場所がなかったのだ。

夜の世界には、私と同じような背景を持つ人も少なくない。普通の世界になじめない私も、夜の世界では“ふつう”に過ごすことができたから、学校に通うように、毎日ホストクラブに“登校”した。

学校と同じように、ホストクラブも競争社会だ。学業成績や運動能力を競うのではなく、1本10万円はするシャンパンを頼んだ数で優劣が決まる。だから、私はほかの女の子たちと競うように注文し、浴びるようにアルコールを摂取した。酔っ払うということは、多かれ少なかれ理性を放棄することだ。