一見儲けの出ない激安セールも、原価のしくみからのぞくと……

街角ではよく、さまざまなセット販売を見かけます。たとえば「ボールペン5本まとめて4本分のお値段!」といった具合です。これらは本当に、宣伝文句にあるような「儲けなしの消費者サービス」なのでしょうか。

もちろん、本当に消費者サービスのケースもあるでしょう。でも、ほとんどの場合は「原価」のしくみを生かして、きちんと利益を確保した販売戦略です。

原価の面から見た「激安セット販売」のしくみ

広い意味の「原価」の中には、本来の元値(少し狭い意味の「原価」)のほかに、いろいろな費用が含まれています。たとえば販売員の人件費とか、各種の事務経費などですね。これらの費用が、セット販売だと少なくてすむのです。販売員の手間を考えてみても、ボールペンを1本売るのと同じ手間で、5本売ることができるからです。

セット販売では大量仕入れによる値引き効果なども利用されますが、広い意味の原価が減るメリットも生かされています。これも「原価」のしくみです。

分けられない原価を、どうやって分けたらいいの?

原価を知ることが大切といっても、実際に原価を計算しようとするといろいろな問題に突き当たります。

たとえば、原価の一部であるはずの燃料費です。たいていのモノは、作るのに電気なりガスなりを必要としますが、1つのモノ当たりの原価はどうしたら計算できるのでしょうか。

仮に、あるお弁当屋さんが、作ったトンカツ弁当の原価を計算したいと考えたとして、炊いたごはんのガス代と、トンカツを揚げるのに使ったガス代は、どうやったら分けられるでしょうか。