宗教法人も完全に非課税というわけではない

まず、宗教法人の数はどのくらいあるのでしょうか? 早速、文化庁のデータを調べようと思ったら、私の心の動きを察した神様たちのご意向でしょうか、文化庁のサーバーがダウンしていて、出てきませんでした。後日私の真意をご理解いただいたのか、見られるようになりましたので、統計表を示すと、図表1のような数字になっていました。

すごい数ですね。これでは、政治家が敵に回したくない相手でしょうね。信者数も日本の総人口を上回っているようです(図表2)。

次に、批判をする前に宗教法人非課税制度を正確に理解しておきましょう。安易な感情的批判だとすぐに反論をされて、なるほどとかえって説得されてしまうかもしれません。

例えば、インターネットで検索してみると「宗教団体から税金をもっと取ったらどうなるか」(出雲大社紫野教会)というなかなか説得力のある指摘があります。要約すると、次のようになります。

(1)宗教法人から税金を取れという意見を主張する人がいる。宗教法人はすべて無税だと勘違いしている人も多いようだが、そうではない。

この点は後述のようにその通りです。

(2)しかし、それがわかっても、もっと税金を取れという人はいる。問題は、ではどこから取るか?

固定資産税を取ったら……収入のほとんどない神社や寺院は払えずに、あっという間に駐車場やマンションに変わってしまう。

法人税を取ったら……現在でも課税されている。現在非課税にされているものにも課税しても税収は上がらない。民間企業は利益を出さないと株主から追及されるが、宗教法人にはその圧力はないので、法人税を払うくらいなら、経費を出してしまった方がいいので、結局所得は残らないからだ。

これも確かに、その通りかもしれません。特に固定資産税を課すと、深刻な事態になるでしょうね。

宗教法人の課税を増やすと社会的影響力が強まる

(3)宗教法人から多額の税金を取り上げたら、宗教団体も税金の使い道に対して発言権が生じ、政教分離原則が形骸化し、宗教団体の影響力が強くなってしまう。

なるほど、そういう側面も確かにあります。

(4)特定の宗教団体が嫌いという感情と税金問題が混同され、課税しろという議論になると、困るのは小規模の宗教法人で消滅の危機に瀕する。収入の豊かな宗教法人はある程度税金は取られても問題ないし、かえって社会的な影響力が強まる、ということになる。

なるほど、その通りですね。

このように、宗教団体の主張も、なかなか説得力がありますね。これで納得された読者は、ここで読むのをやめてもよいかもしれません。しかし、私は少し、いや根本的なところで異論があります。その意味をこれから説明していきましょう。