公平性を保つため収益事業には課税することに
それなら、なぜ例外的に収益事業には課税するようになったのでしょう。公益法人で行うと非課税なら、なんでも民間会社でやるのではなくて、公益法人で事業をやればよいのではないか、とみんな考えますよね。公益法人で儲けて、配当なんかいらないので、儲けた分は給料や退職金としてもらえばいいじゃないか、ということになります。株式会社として出版業をすると課税されちゃうので、公益法人として出版をすればいいじゃないか。
実際に公益法人はそうなってしまったのです。非課税措置が乱用されたため、民間企業が不利になってしまいました。そこで、昭和二五(一九五〇)年の改正で、通常、民間企業が行う事業を「収益事業」と規定し、これらの収益事業については公益法人が行った場合でも課税し、民間企業との公平性を維持しようとしたのです。そうすると、何が「収益事業」なのかが問題となります。いろいろな変遷を経て、現在では図表3の34業種が収益事業とされています。
おみくじの売上は非課税だが線香は課税
この世で行われている事業のほとんどが規定されているようにもみえます。これだと、逆に何が非課税になっているのかを探すことの方が難しそうです。宗教法人が行っているおみくじなども物品販売業のようにみえます。ところが、国税庁の解説によると、次のように区分されるのだそうです。
お守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品の頒布は、収益事業には該当しません。
しかし、一般の物品販売業者においても販売されているような性質の物品(例えば、絵はがき、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花、数珠、集印帳、硯墨、文鎮、メダル、楯、ペナント、キーホルダー、杯、杓子、箸、陶器等)を通常の販売価格で販売する場合には、その物品の販売は収益事業(物品販売業)に該当します。
なお、線香やろうそく、供花等の頒布であっても、専ら参詣に当たって神前、仏前等にささげるために下賜するものは、収益事業には該当しません。(国税庁『宗教法人の税務』平成三〇〔二〇一八〕年版一四頁)
う~ん、難しいですね。おみくじなどは原価がなくて、それを高い値段で買っているのだから、これは喜捨であり、寄付しているのだ。一方絵はがきは原価に基づく通常の価格で買っているのだから、これは事業だ、ということのようです。