安価・発見困難・製造容易・高性能・操作容易という兵器

第1に、安価な自爆ドローンを巡航ミサイルにミックスする攻撃は、極めて有効だということだ。仮に自爆ドローンが対レーダータイプであった場合(その可能性は過去の事例から高いと考えるが)、自爆ドローンで敵のレーダー網や防空網を潰しつつ、巡航ミサイルで攻撃するという世界初の高度な戦術が採用されたことになる。

敵防空網破壊(DEAD)攻撃は、航空自衛隊ですら至難であり、これに巡航ミサイルをミックスしたものは、おそらく世界初であろう。

辺境の武装勢力ですら、航空自衛隊には不可能なミッションを実行できるところに、ドローンという安価・発見困難・入手および製造が容易・高性能・操作容易という兵器の意義がある。

第2に、安価なドローンを使えば、辺境の武装勢力でも戦略爆撃(それも全世界の石油価格に影響を与える)がついにできるようになったのだ。米空軍幹部が「ドローンの登場により、朝鮮戦争以来なかった空爆を米軍は受けている」と発言してから1年8カ月。ここまで、ドローンの軍事革命は来た。

自衛隊はドローンで、新興国にも後れをとる

では、なぜ、ドローンがこれほどまでに有効活用できるのか。それは、ドローンが新たな戦闘空間を切り開き、ほしいままにしているからである。

これまで、高度5~500メートルという「低空」は、一時的な利用はあっても、基本的に恒常的な軍事利用はなかった。その空域を今、ドローンが活用しているのである。「空地中間領域(InDAG)」とでも名付けるべき、第3の新しい戦闘空間の登場である。

この高度5~500メートルという地上と空中の中間にある「中途半端な空間」がブルーオーシャンとして登場し、その空間の争奪戦を中東のテロ組織から米・中軍までのあらゆる軍事組織が繰り広げているのが現在の状況なのだ。

そして、それにもっとも遅れている後進国が日本だ。