「基礎自治体」を中心に国のあり方を掘り下げる
鳩山首相の一連の言動を観察すると、根が悪い人間でないのはよくわかる。が、リーダーとしての資質はまだまだ。リーダーの資質をいかに磨くか。経営コンサルタントとしてアドバイスするなら、一つのテーマを選んで深掘りする癖をつけることだ。意味を突き詰めずに「友愛」とか「東アジア共同体」などと言葉に酔って軽々しく言わない。縦横斜めに考え抜いて、自分が発する言葉に重みを持たせなければいけない。
鳩山首相は「基礎自治体」という言葉をよく使う。民主党のマニフェストにも人口30万人規模の基礎自治体に財源と権限を大幅に委譲して地域主権を確立する旨が書かれている。
人口30万人規模の基礎自治体が日本全国に400できたとして、基礎自治体と国家の関係はどうなるのか。基礎自治体はどうやって経済的に自立するのか。基礎自治体の権限や責任が不明瞭で、概念としては中途半端であることは否めない。しかし、基礎自治体を中心にこの国のあり方を掘り下げて考えていくと、鳩山政権がやるべきことが見えてくる。
たとえば、すべての行政手続きを基礎自治体に一元化する。現状は免許証の発行にしてもパスポートの発行にしても、健康保険その他の行政手続きにしても、窓口はすべてバラバラ。中央の行政機関が地方に出先機関を構えたり、市区町村などの自治体が中央の出先機関のような役割を果たしている。
これを、地域の安全と安心を基礎自治体が責任を持って提供するよう、抜本的に改める。少し深掘りして考えれば、画期的な行政改革の芽がそこにはある。