国家指導者と喧嘩をしても戦争にはならない交渉術

また、国家の指導者間の関係では、最後には戦争になり得る危険性がある。そうならないよう、最後にはきちんと交渉でまとめたいと思っているのであれば、たとえ交渉の途中で相手と激しい喧嘩をしても、決定的な人間関係の決裂にはつながらないような態度振る舞いが必要になる。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

そこでトランプは、自分の部下や政府組織には、相手ととことん喧嘩をさせる。場合によってはトランプ自身も、ツイッターなどで相手にプレッシャーをかける。しかし、そうかと思えば、歯の浮くようなお世辞も平気で言う。そして直接会った相手には、丁寧な態度にとどまらず、とことん相手を評価し、持ち上げ、信頼するような態度をとる。

特に、その国家指導者との個人的な信頼関係が最後はモノをいうような非民主主義国家の指導者に対しては、歯の浮くようなお世辞を連発するんだ。

他方、どれだけ国家指導者間で口喧嘩になったとしても、国と国との関係が最終的に決裂することはなく、ましてや戦争になることも絶対にない民主主義国家の指導者に対しては、厳しい対応を取り、そのまま放っておくこともある。

よく考えてるよ。

さっきも言ったけど、このトランプ的態度振る舞いは、真のプライベートな友人関係を形成するためのものではない。激しく交渉することを前提に、ギリギリのところで決定的な決裂を避けるための態度振る舞いだ。

結局のところ、トランプの根っこはビジネスマンなんだ。だから、政治の世界においても、ビジネス上の付き合いと、プライベートな付き合いは別だと割り切っているんだろう。

トランプは中国に対して、これだけ激しい貿易戦争を仕掛けているのに、表では「習近平主席は友人だ」と言うことを憚らない。だから、これだけ無茶をやられている習近平も、「トランプは友人だ」と言わざるを得ない状況になっている。

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