※本稿は橋下徹『トランプに学ぶ現状打破の鉄則』(プレジデント社)の「CASE7」から一部を抜粋したものです。
僕だってトランプ氏が交渉相手だったら面倒だ
トランプのことを嫌いな人は、世界中にたくさんいると思う。でも、好き嫌いを脇におけば、トランプの政治的態度振る舞いは、実践的な交渉をする者にとって役立つことが非常に多い。観念の世界に生きる者ではなく、現実の世界に生きる者には大いに役立つと思う。
たとえばビジネスを進める上では、相手の好き嫌いはある意味どうでもいいことだ。成果がすべて。その視点から見ると、トランプの交渉術には現状を打破し、成果を出すノウハウが詰まっている。ゆえに、トランプの好き嫌いは別として、そのノウハウはしっかりと学ぶべきだろう。
激しい利害得失がうごめく現実の交渉の場では、トランプ的態度振る舞いが効果を発揮することが多い。
僕も政治家になる前の弁護士業務において、激しい交渉を数え切れないほどやってきたけど、正直「トランプが交渉相手だったら面倒だな」と感じるよ。交渉人にとっては、相手から「面倒だな」と思われるのが最高の栄誉で、逆に「楽だな」と思われた時点で失格なんだよね。
そういう意味でトランプは、ビジネスの世界では交渉人としてピカイチ。それも超Aクラスだと思う。まぁ、そんなことを僕が言わなくても、普通のビジネスマンなら、誰でもそう感じるだろうけどね。反対に、観念の世界で生きる学者たちには、トランプの能力のすごさはまったくわからないだろう。