安倍内閣で「官房副長官」を経験済みの5人組

今回の人事も、同じく親しい人物が大量に閣内や、党執行部に入った。ただし、今までの「お友達」とは少し違う。

西村康稔・経済再生相
萩生田光一・文科相
加藤勝信・厚労相
下村博文・党選対委員長
世耕弘成・参院幹事長

この5人の共通点が分かる人は、かなりの政治通だ。5人は、安倍内閣で官房副長官を経験しているのだ。

官房副長官というポストは、閣僚や党4役と比べると地味だが、政権運営上、極めて重要なポストだ。首相の分身として官僚との折衝、与野党対応などをこなす。

首相と最も一緒にいる時間が長いのは官房副長官だ。外国訪問にも同行する。外遊に出掛ける首相が政府専用機に乗る前にテレビカメラに向かって抱負を述べる時、背後に立っている人物を見て「誰だろう」と思った人がいるかもしれない。あれが、官房副長官だ。

首相は、かわいいと思い、能力も評価し、そして自分に絶対服従する人物を副長官に選ぶ。今回は安倍氏がこれまでに選んできた副長官経験者5人が閣僚や党首脳に名を連ねたのだ。

さらに主従関係が明確な「首相補佐官」の経験者4人

河井克行・法相
江藤拓・農相
衛藤晟一・一億総活躍相
世耕弘成・参院幹事長

この4人は安倍内閣のもとで首相補佐官を歴任した。補佐官も官房副長官同様、首相の分身であり黒子。国会で答弁を求められたり記者会見をする機会は少ないので目立たないが、やはり首相のお気に入りでないと選ばれない。「格」は副長官よりも一段落ちるため、首相との主従関係は、より鮮明ともいえる。

こうみると、今回の内閣の性格がはっきりしてくる。安倍氏に近い人物が並ぶのは従来と変わらない。

ただし、これまで多かった「お友達」とは違う。「お友達」は仲がいいだけでなく、何かあれば苦言を呈することもある。

ところが今回の政権には「お友達未満」の顔触れが並ぶ。「側用人」とでも呼ぼうか。彼らは安倍氏に絶対服従。安倍氏の意向を忖度して、走るだけだ。彼らは思想、政治信条的にも安倍氏に近い。もちろん麻生、菅の両氏が旧来の「お友達」も閣内に残ってはいるが、「側用人」たちの大量起用で「安倍1強」がさらに強化されたといえる。