離婚の方法が事細かに送られていたLINE
「夫は愛人にだまされているのでしょうか」と相談に訪れたのは、会社員のA子さん(30代)。A子さんが夫の浮気に気づいたのは半年前。夫の入浴中に鳴った携帯電話を何げなく見たところ、「今度の秋の連休は去年泊まった温泉に行きたいな」と明らかに長期間浮気をしていることがわかるLINEが届いたことだった。夫が浮気をしていたこと自体、寝耳に水だったが、もっと驚いたのは夫が愛人に行動をコントロールされていることだったと言う。
偶然にも夫の携帯電話はロックがかかっていない状態だったため、愛人とのLINEのやり取りをさかのぼってチェックしたというA子さん。「『理屈っぽい奥さんには、焦らず時間をかけて法律にのっとった理由を提示しながら説得したほうがいいみたいよ』とか『このサイトを見ると、離婚を切り出すベストなタイミングについても書いてあるから読んでみてね』などと、愛人から夫へ離婚するためのノウハウやアドバイスが事細かに指南されていたんです」とA子さん。
「さらに情けないのは、夫が『的確な指示をありがとう』『調べてくれて僕もうれしい』といった返信をしていたことです。愛人のせいで離婚させられそうになっているのに、何をやっているんだか」。夫には早く目を覚ましてほしいと思うものの、元通りになっても以前と同じような夫婦関係ではいられないだろうと想像するA子さん。実はまだ、夫に愛人とのLINEを盗み見たとことについて、話していないという。
エクセルに離婚費用を算出、愛人のチェックを受けていた
派遣社員のB美さん(40代)も、それまで夫の浮気をまるで疑っていなかったケースだ。温和な性格で子煩悩な年上の夫とは、子供ができて以来セックスレスの状態。とはいえ、「どこの夫婦でも、子供ができればこんなものだろう」とB美さんはそのことを気に留めてもいなかったという。
夫が本気で離婚の計画を立てていると知ったのは、B美さんが調べものをしようと夫のパソコンを開いた時のことだった。「閉じ忘れたエクセルが表示されたのですが、そこには婚姻費用、慰謝料、養育費、財産分与、年金分配という欄があって、離婚したら夫が私に払うべき細かい金額まで書き込まれてあったんです」。
夫の帰宅を待って問い詰めてみたところ、夫には10歳年下の愛人がいることが判明。B美さん夫婦を別れさせるために、愛人が先導役となって離婚を計画。「離婚を成立させるためには、まずお金のことをきちんとしないと」と指示された夫はすべてを算出し、愛人からのチェックを受けていたとのこと。「お金のこと以外にも、『セックスレスは離婚事由になる』『子供の受験をめぐって意見が食い違ったことにしては?』などと、離婚を切り出すきっかけまで夫に提案していたこともわかりました」とB美さん。現在は、離婚か修復かで迷っているところだ。