ある日突然、親が認知症になったとしたら、どうすればいいか。信愛クリニックの井出広幸氏が、認知症の「あるある」症状に回答する――。
▼家族が誰かわからず、「どちらさま?」と聞く
残念ながら「認知できるようにする」のは、難しいことです。その事実を受け入れるしかないでしょう。
ただし、普段から本人に接している配偶者や息子さん、娘さんのことが誰かわからなくなったら要注意。かなり認知機能が低下していることが窺えるため、介護に対してもさまざまなトラブルが予測されます。家族の負担も大きくなるため、施設やグループホームへの入居を検討してもいいでしょう。
認知症患者に対して大切なのは「認知機能を取り戻す」ことではなく、ご本人に「平和かつ穏やかに暮らしてもらう」ことなのです。
▼散歩中に「ここはどこ?」といい、場所や時間がわからなくなる
そもそも「それがわかっていたら認知症ではない」といえます(笑)。
これらの症状は“見当識障害”という認知症の中核となる症状ですので、かなり早い段階で出現します。
逆に「今日は何月何日?」などと聞いて日付を即答できる方は、認知症の可能性はかなり低いでしょう。そのため、あまり気にしなくてよいのではないかと思います。