▼夏なのに、冬物のセーター、ダウン等を着ている

自然な口調で「今日は暑いね、ブラウスに着替える?」などと普通に声をかけ、できれば洋服を脱ぐ動作などを手伝ってあげるのがいいでしょう。

嫌がるようであれば、時間を置いて声をかけてあげましょう。

その際、「なんでこんな冬みたいな格好しているの!」と、季節はずれの格好をしていることを咎めるような言葉や、口調を使わないよう、注意をしなければなりません。あくまで自然な会話の中で、誘導できるように心がけましょう。

▼「家族に迷惑をかけるくらいなら、もう死にたい」と漏らす

どのくらい深刻に、死にたいという気持ちを表出しているかによります。

アルツハイマー型認知症などでも併存症として大うつ病が合併する場合もあり、その場合は大うつ病に準じた精神療法、薬物療法を行う必要がありますが、深刻度が高くない様子のときには、「あなたが生きているだけで、私は嬉しいよ」とごく当たり前のメッセージを伝えるのがいいと思います。

また、迷惑をかけるという言葉の裏に、家族と一緒に過ごしたいという気持ちが隠れている場合があります。この場合は、家族と一緒に過ごす時間を増やしてあげるのもアリですね。

また、ご高齢の方の中には、「もうそろそろおしまいにしたい」といったことを口癖のようにおっしゃる方がいますが、年を重ねて生きづらさを感じている一方で、生きたいという気持ちがせめぎあっているのだと思います。そんな場合「長生きしようね」と優しく声をかけてあげるのがいいかもしれません。

できるだけ身体的な苦痛をとる工夫をしつつ、生きることにフォーカスをしてアドバイスをするといいでしょう。

(構成=山野祐介)
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