それで、宅建の勉強を始めることにしました。最初に過去問に挑戦したところ、半分くらい正解したんですよ。でも、実は宅建の問題は、半分は簡単で、もう半分が難問なんですね。それを当時はわからないまま、意気込んで勉強を始めました。

学校を信じて、脇目もふらずに勉強の日々

東京・水道橋にある大原簿記学校(※専門学校)に通うことにしました。理由は、娘が「熱血先生が多いよ」と勧めてくれたからで、実際に受講してその情熱に惹かれました。あとはもう、学校を信じて、脇目もふらずに勉強の日々です。

大原簿記学校のテキスト。授業で大切だと思ったことは、テキストにどんどん書き込んだ。

とにかく、宅建一筋、大原一筋です。朝目覚めたら、朝練として問題を解き、軽く朝食をとって学校へ。月・木10時からの2時間ずつ、の週2回講義の半年コースの受講に決めました。

学校に行くなんて久しぶりなものですからワクワクしてしまって、授業の何時間も前から予習しに通いました。講義が終わると、どこにも寄り道せずに家に帰る日々。というのも、学校で「人間、物事をはっきり記憶しておけるのは1時間。2時間、3時間も経てば忘れてしまう」と教わったからです。しかも、私は80手前で記憶力はザル。だから、授業が終わった後は一直線に家に帰って、その日の内容を音読して復習しました。

勉強に用いるのは、学校で購入したテキストのみ。大原の宅建のテキストは、「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限・税その他」があり、それぞれが過去問から構成されています。授業で大切だと思ったことはどんどんテキストに書き込んで、何度も過去問を解きました。テキストには各ページを解いたごとにつけるチェックボックスが10個あったのですが、私はそのチェックボックスを書き足して、若い人に負けないように、もっと何度も解くようにしました。

努力の甲斐あって、試験には1度目で合格。「その年ですごいですね」と言われるのですが、勉強漬けになれる環境を家族がつくってくれて、応援してくれたことがとても大きかった。家族と、熱意ある先生に、心から感謝しています。

(構成=伊藤達也 撮影=原 貴彦)
【関連記事】
外国人の質問「神社と寺の違いは」神回答
子供を必ず算数嫌いにする"NGな教え方"
"筆記テストなし"の国立大が急増するワケ
年をとって「ありのまま」だと孤独な人生になる
東大生が「地理」の勉強をすすめる理由