小室 曽山さんの『サイバーエージェント流 自己成長する意思表明の仕方』を読ませていただいて、共感する部分がとても多くてうれしくなりました。仕事に優先順位をつけたり、上司とすり合わせたりするコミュニケーションが大事だとおっしゃっていますよね。

曽山 サイバーエージェントでは、設定された成果に対して「自分としてはこういうふうにやっていきたい」とか「こんな思いでやっている」とか、意思表明する風土が強くなってきました。自分の考えを伝えたら、もしかしたらダメ出しがくるかもしれないけれど、承認される機会も多くなるから成長できる。小室さんがこの本でも例に出しておられるような、「私がんばってるオーラ」を出すだけの人とは、成長のスピードは全然違いますね。

小室淑恵氏
小室淑恵氏

小室 具体的に言うと、意思表明とは、どのようなことなのでしょうか?

曽山 まず「報告・連絡・相談」の「ホウレンソウ」です。特に報告は「2割報告」という言葉が本社で使われており、仕事が2割進んだ時点でいったん報告をさせています。完成前に上司が仕事を見ることで、上司が「ここに力をかけずに、こっちをもっとやって」と、軌道修正が早めにかけられるからです。

小室 早期発見みたいな感じですね。

曽山 そうです。早めに意思表明すれば軌道修正につながるし、早く結果を出せます。

小室 意思表明が苦手な人が入社してきたときに、どのようにトレーニングしていくのですか?

曽山 基本的には日本人は、意思表明は下手だと思うのです。私もそうでした。小学校から大学まで、授業中に手を挙げなくても乗り切れる、みたいな部分がありますよね。サイバーエージェントの新入社員も、ベンチャー志望だからといって、とりたてて必ず手を挙げるというわけでもないんです。なので、うちでは意思表明したことをまず「ほめる」機会を増やしています。

たとえば、「ジギョつく」という新規事業部プランコンテストが半年に一度あるのですが、社員の約4分の1が毎回応募してきます。プラン数にすると250件くらい出てきて、このところすごく増えているんですよ。