小室 すごい。1年で500件のアイデア。2人に1人は企画を出していることになりますね。
曽山 でも、始めた時は1回10件しか応募がなくて……。どうしようと考えたときに「応募したことが得になるしくみ」にしようとやり方を変えました。選考に落ちた人たちを呼んで「フィードバック会」を開くようにしたんです。まず応募したことをほめる。次に、なぜ落ちたのか、次はどうすればいいのかを教えていくと、落ちても「出した甲斐があったと」アンケートで満足感が高くなることがわかりました。
小室 ビジネスモデルコンテストというと、役員が偉そうに「きみたち、まだ甘い」とダメ出しする会社って多いと思います。
曽山 「うちの従業員、まったくアイデアがなくてね」とか言ってしまう。従業員を育てるのは役員の仕事なのに……。
小室 役員が自分に「育てる能力がない」と、言っているのと同じですよね。それに最初からアイデアを却下されたら、社員は二度と出さないぞ、という気持ちになってしまう。でも、まず「ほめ」があったら「次はもっとブラッシュアップして、出すぞ!」と積極性が育ちますね。
曽山さんのお話は、私が「もったいない理論」と呼んでいるのと近いかもしれません。私は、相手が何かにチャレンジしてくれたときに、まず8割「ほめて」そのあと2割だけ「ここはもったいないね」とアドバイスします。
社員は「あれ? 今、すごくほめられたと思ったけれど、つまり、ここは足りなかったのか」と気づくんです。最初にほめられたイメージを持たせると、足りないところを言われているときにも、結構、素直に聞いてくれるんです。