7割の人が「物より体験にお金をかける」
それを裏付ける結果が、アメリカンエキスプレス社が2013年に会員向けに行った消費に関する調査にすでに現れています。それによると、72%が「物よりも体験にお金をかける」と回答しています。さらに88%が「家族」や「富」を差し置いて、「旅」をバケツリスト(一生のうちにやってみたいこと)のトップに挙げています。
また、PGF(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル)生命が2000人に対して行った『人生の満足度に関する調査2018』(表1)でも、「旅」が“人生を豊かにしてくれる趣味や娯楽・レジャー”のトップに挙がっています。
さらに、夏休みの旅行先について、アメリカンエキスプレス社が旅行会社向けに行った調査では、34%の旅行会社が「クライアントが旅先に溶け込み、現地の人々がするような体験を求めている」と答えています。中でも冒険的なツアーや芸術や文化に根ざした体験が優先順位の上位を占めています。
「この惑星はもっと高い次元の意識を必要としている」
このような自己変容の重要性は、すでに20年前にハーバードビジネスレビューに発表された「経験経済へようこそ(Welcome to the Experience Economy)」という論文で指摘されています。この中で二人の学者が「消費者の五感に訴えるクリエイティブな体験型のサービスが、生き残りの不可欠要素だ」と主張しています。そして人々は、関心や好みだけでサービスを選ぶのではなく、どのように自身の人生、考え方を「変容(Transform)」できるのかを指標に、商品やサービスを購入し始めていると結論づけています。
このように旅行後の自分に変化を起こし、自身を進化させることが、TTが従来の体験型の旅や単なる本物志向の旅とは一線を画しているところだとして、米国のハイエンドトラベル会社であるワイルドランド・アドベンチャーズ社(Wildland Adventures)のクテイ社長は次のように語ります。「この惑星はもっと高い次元の意識を必要としている。トランスフォーマティブ・トラベルがそれを我々に与えてくれる」と。