クラウドコンピューティングといえば、2007年の日本郵政グループにおけるSaaS型アプリケーション「セールスフォース」の導入が記憶に新しい。同社は貯金や保険、郵便などの業務に関わる「顧客情報管理システム」の選定に際して、民営化で「郵便局会社」が発足するまでの短期間で稼働できるという点を最も評価したという。

クラウドコンピューティング市場規模予測

クラウドコンピューティング市場規模予測

「ITリソースを自社で持たない」というクラウドの概念自体は新しいものではないが、この1~2年、特に注目が集まっている。昨年末に市場調査を行った矢野経済研究所・情報通信産業部の小林明子研究員は「これまではGoogleやアマゾンのような外資系ベンダーが、グローバルに幅広くサービスを提供することで先行した。一方、富士通、NEC、日立などの国内組は企業の情報システムに特化したビジネスモデルに活路を求めている」と説明する。

(ライヴ・アート=図版作成)