デジタルカメラ市場は、消費低迷で不振が続いていた。ユーザーの多いコンパクトカメラは、新たに高機能・高画質に買い替える動きが大きく鈍化したことから、買い替え需要が落ち、台数、金額とも前年割れが何カ月も続いていた。一方、一眼レフカメラはそこそこ堅調ながらも、昨年は踊り場にあったといっていい。
ただ今年に入り、回復の動きが見え始めており、前年同月比が台数で3割、金額で2割強増加している。そのデジタル一眼レフ市場で存在感を見せつつあるのが、小さく軽量ながら、一眼レフ並みの画質の良さを誇る「ミラーレス一眼」だ。家電品の店頭実売データを提供するBCNによれば、台数ベースで19.1%のシェアを占める。
同社シニアアナリストの道越一郎氏は「2008年秋にパナソニックが市場に投入し、翌年夏にオリンパスが続いた。当初はデジタル一眼レフユーザーのサブカメラとして購入されたが、ここにきて、コンパクトカメラからステップアップする際の選択肢と注目されている。価格も当初10万円弱だったが、最新モデルで7万~8万円前後と買いやすくなった」と話す。
当然、活性化が期待できる分野となれば、新規参入組の動きが気になる。国内では、ソニーが年内中の投入を決めており、海外メーカーでは、サムスンの日本発売も取り沙汰されているという。世帯普及率が7割というデジカメだが、そのうち9割がコンパクトカメラ。そのユーザーが小型一眼に食指を動かせば、市場に光明をもたらすかもしれない。
(ライヴ・アート=図版作成)