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※本稿は、上大岡トメ『マンガで解決 親の認知症とお金が不安です』(主婦の友社・監修:杉山孝博、黒田尚子)の一部を再編集したものです。
認知症・理解ワード④ 認知症になってもプライドは残る
CASE4 絶対にお風呂に入ろうとしない母
D太さんの母はもう何カ月もお風呂に入っていません。何度お風呂に誘っても「昨日入ったから大丈夫」と拒絶されてしまいます。デイサービスで入れてもらおうとしても、「絶対に嫌だ」と言って入ろうとしないようです。せめて着替えだけでもさせようとするのですが、下着を脱ごうとしません。母は昔から病院に行く前には新しい下着をつける人だったので、D太さんが「今日は病院に行くから下着を替えよう」と言うと渋々従いましたが、案の定下着はかなり汚れていました。別の日、タンスの引き出しの中に汚れた下着が丸めて入れてあるのを見つけたD太さん。きれい好きで几帳面だった母を思い出すと涙が出てしまいます。
「恥ずかしい」「情けない」と感じる気持ちを理解してあげて
お風呂や着替えを嫌がる認知症の人は珍しくありません。もともと自分が認知症である自覚はないし、前回いつ入浴したかという記憶もありません。これまで毎日入浴していた人なら、「お風呂は昨日入ったはず」と思い込んでいることでしょう。しかもデイサービスのスタッフや、お子さんの前で裸になるのを恥ずかしいと感じる人も多いものです。息子や娘の前で下着を替えるのも、普通に考えれば恥ずかしいものです。認知症だからといって、恥じらいの気持ちが消えるわけではないのです。
汚れた下着を隠す人も多いですね。「自分がこんな失敗をするとは!」とショックを受けて、とっさに隠してしまったのかも。隠したところで何の解決にもならないのですが、認知症で判断力が落ちているためごまかしきれるような気持ちになるのでしょう。「なんでここにしまったの?」と聞くと「誰かがやった」とごまかすかもしれません。人は誰でも自分に不利なことは認めたくないものですが、認知症の人にとってはギリギリのプライドを死守しているのです。理解してあげたいものです。