製品を作る前に「営業」をしたビル・ゲイツ

このようなやり方に似た例として、営業してから製品を作り始める、という手法もあります。当初、マイクロソフトのビル・ゲイツも、ハードメーカーに営業をかけ、顧客にニーズがあることを確認してからプログラムを作っています。

馬田隆明『逆説のスタートアップ思考』(中公新書ラクレ)

そんなことができるのは、彼自身が実際に素早くプログラミングできるエンジニアだったからです。「まだできてもいないものを売る」という手法は誰にでもお勧めできる方法ではありません。ただ、確かにこれが成功すれば、「誰も買ってくれないものを作ってしまう」という時間の無駄を避けることができます。

「最初のバージョンが恥ずかしいものでなければ、それはリリースが遅すぎだ」とビジネス特化型SNS、リンクトイン創業者であるリード・ホフマンは言っています。

技術者は完成度や品質を上げるため、つい製品開発に長い時間をかけてしまいがちです。しかし製品開発は学校のテストと異なり、必ずしも一度のテストで100点を取らなくてもよいものです。むしろ次第に点数を上げていくような手法も通用します。

早くリリースする、という意味では既存の製品を改造することも一つの手です。すでにリリースされている競合製品をカスタマイズして、試しに提供するところから始めてもよいでしょう。そうすることで最も貴重な資源の一つである「時間」を節約することにもつながります。

(写真=iStock.com)
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