日本人の大半は話すことを得意としていない、いやむしろ苦手だと考えている。そのうえに“話す”ことが苦手と考えている人の大半は、自分だけが話し下手だと勝手に考えている。つまり、話し下手な人には、日本人のほとんどが話し下手であるという認識がない。また“話す”ことに苦手意識がある人は、“話す”ためにたくさんの資料を準備し、“話す”シナリオを作成し、あげくに“話す”ことを暗記しようとする。つまり“読む”という状況をつくってしまう。“話す”と“読む”ことの混同だ。これではパニック間違いなしだ。

<strong>ターゲットメディアソリューション代表取締役 吉良俊彦</strong>●1981年上智大学卒業後、電通入社。85年より雑誌局。リチャード・ブランソン氏や村上龍氏らと大型イベントプロデュースを手がける。大阪芸術大学客員教授。
ターゲットメディアソリューション代表取締役 吉良俊彦●1981年上智大学卒業後、電通入社。85年より雑誌局。リチャード・ブランソン氏や村上龍氏らと大型イベントプロデュースを手がける。大阪芸術大学客員教授。

ではこのパニック回避のためにどうしたらいいだろう。私が考えている一番大切なことは「自分も苦手だが相手も苦手なのだ」という認識だ。だからこそ互いに歩み寄り、互いを高め合うことができる。

(構成=小澤啓司 撮影=鷹尾茂)