バスの運転手と同じ給与水準になる

ちなみに、今回の政府の計画案では、地方銀行と路線バスが「地域基盤企業」として同列に扱われている。路線バスは実際にその地方を走っていなければ意味がない、まさに地域の基盤インフラだ。だが、金融業はインターネットの発達や他業種からの参入などで、必ずしも地銀だけがそのサービスを担っているわけではない。

仮に、損益に関係なしに、地域のインフラとして地方銀行を残すと国が言っているのだとすれば、それはバスの運転手と地方銀行の銀行マンの給与水準が同じになることを示唆している。赤字の銀行の社員が比較的高い給与をもらい続けることは不可能だろう。地方銀行の社員の給与が下がれば、優秀な人材は金融業に参入する異業種へと移っていくに違いない。

地方銀行は不要になっても、知識を持った「金融のプロ」はますます求められる時代になる。そのための自己研鑽を忘れなければ、船が沈没しても泳ぐことができる。

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。