「学校が終わり、放課後公園で遊ぶ約束をしたのに、息子が公園に行くと誰もいないといったいじめを受けていたようです。私が平日休みの仕事ということもあり、この事態にいち早く気づけました。夕方に『○○くん(いじめの主犯格)と公園で遊んでくるね』と言って家を出たのに5分で泣いて戻ってきましたから。息子になんてことをしてくれたんだと怒りがわきましたね」
いじめはこれだけではなかった。学校では道具や上履きを隠されたり、筆箱の位置を別の場所に移されたりと、学校内でのいじめもエスカレート。中川さんの怒りが積もりに積もったある日、ついに復讐の瞬間はやってきた。
「その日も息子は公園に遊びに行ったにもかかわらず、誰もいないという仕打ちを受けて泣いて帰ってきたんです。当時、私は仕事がうまくいかなかったこともあり、昼からウイスキーを数杯飲んでいました。酔った勢いでいつもより強めに『また、やられたのか?』と息子に問い詰めていたところ、ピンポーンとインターホンが鳴ったんです」
いじめへの親の介入は逆効果になることもある
玄関を開けると、同学年の男の子グループ4人が中川さんの子どもと遊ぶために迎えに来ていた。
「さっきまでいじめていたくせに、何食わぬ顔で遊ぼうと誘ってきたので、思わず主犯格の子どもに『おまえ、やってること全部聞いてるからな! 親にも言ってやる!』と追及しました。酔っていたのであまり覚えていませんが、『仲良くできないなら、もうこれ以上うちの子どもとかかわるんじゃねえよ!』と思い切って伝えましたね」
酔った勢いの説教が効果があったか、その後いじめはピタリとやんで今に至るという。
「あいつの父ちゃんは怖いから絡むのはやめようと思われたらしいです。その後息子はいじめっ子グループとかかわらずに済みました」
父親の“直接反撃”が功を奏した形だが、いじめへの親の介入がさらにいじめをエスカレートさせるケースも少なくない。「今思えば、法的な手段に出ることも1つの選択肢だった」としらふの中川さんは当時を振り返る。