「若貴ブーム」の大相撲人気
たしかに大人4人では窮屈ではあるが、その希少価値と滞在時間の短さ(幕内の取組に絞るなら90分くらい)で、恰幅のいい重役たちでもなんとかなったのである。結果、平成の「若貴ブーム」の大相撲人気のときには枡席は極めて入手困難となった。
ところが、長引く日本経済の不振や件の大相撲不祥事による人気凋落で、企業の相撲離れが相つぎ、本場所に空席が目立つようになる。そこでようやく相撲好きの一見さんに目を向け、わずかな空間に一人席をつくったり、枡席のネット販売をするようになった。
つまりいろいろあって、われわれ庶民にも枡席での相撲観戦が叶うようになったのである。
繰り返すが、枡席は狭いからいい。話を外交に戻せば、総理も小柄なほうではないから、女性2人を伴うとたしかに窮屈だろう。しかしたったの5番の辛抱だ。膝を折って我慢して、狭いエリアでお酒を注ぎつ注がれつ。総理の膝頭が大統領の内腿に触れるかもしれないほどの近距離で「これこそが、日本の文化なのだ。しばし、お楽しみを」と胸を張ればよかった。まさに「枡席外交」である。
(写真=時事通信フォト)