財閥企業の輸出競争力に依存してきたツケ

文大統領は景気を支えるために、財政出動を重視している。政府は、財政出動を呼び水にして財閥企業の設備投資や雇用を勢いづけたい。それは、文氏が支持率回復を目指すためにも重要だ。

一方、すでに韓国の財閥企業は過去数年間に大規模な設備投資を行ってきた。サムスン電子などは設備投資を減らしている。文政権の財政政策の効果は一時的なものにとどまり、財政の悪化懸念が高まりやすい。その状況が続くと、韓国の国債利回りが上昇し、企業や家計には一段の重しとなる恐れがある。

第2次世界大戦後の長い間、韓国は財閥企業の輸出競争力に依存し、成長を実現した。一方、内需の厚みは増していない。韓国が輸出減少のマグニチュードを吸収し景気を落ち着かせることは難しい。経常収支の赤字転落により、韓国経済の停滞リスクは高まっている。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。