東京五輪でテロが発生する恐れはあるのか。国際テロ情勢や危機管理に詳しい和田大樹氏は、「国際テロ組織などによる計画的で規模の大きなテロが発生するリスクは低いが、車やナイフなど日常生活で簡単に手に入る物を使ったテロが起きる恐れはある。そうした『ローンウルフ(一匹狼)』への対策が重要だ」と指摘する――。
注意すべきなのは「一匹狼型」のテロだ――。2016年7月にフランスのニースで起きた、盗難トラックによるテロの現場。打上げ花火を楽しみに海沿いの通りに出ていた見物客に、多数の死傷者が出た。(写真=AFP/時事通信フォト)

テロリストにとって重要なのは「タイミングと場所」

東京五輪がいよいよ来年に迫ってきた。一方で、五輪を舞台にしたテロが起きるのではないかという懸念も社会にはある。飛行機や電車、地下鉄やバスなどに乗れば、「テロを許さない」「テロ警戒」などの文字を目にするし、鉄道会社などは地元警察と協力して、テロ対策訓練をよく実施している。五輪本番が近づくにつれ、こういった動きは一層進むことだろう。

では、なぜ東京五輪でテロが懸念されているのか、また、どのようなテロが最も可能性があるのか。今回はこの二つに絞って説明したい。