※本稿は、トラヴィス・ブラッドベリー、ジーン・クリーブス『EQ 2.0 「心の知能指数」を高める66のテクニック』(サンガ)の一部を再編集したものです。
後天的に強化できる「心の知能指数」
EQとは自分自身と他者の心の動きに気づき、それを理解する力である。また、その気づきを使って自分の行動や人間関係を上手にマネジメントする力でもある。その力が、行動をコントロールできるか、複雑な社会の中をうまく進めるか、賢い判断によって前向きな結果を出せるかを左右する。
「EQ」は「Emotional Intelligence Quotient」の略語で、「心の知能指数」と呼ばれる。それは人間の行動の土台になる要素だが、知性とは違う。
認知的な知性、つまり知能指数(IQ)は、生まれながらに決まっている。知識や情報を蓄えても、IQが上がるわけではない。IQとは学習能力で、15歳でも50歳でも同じだ。しかし、EQは違う。EQは後天的に身につけられるスキルだ。もちろん、生まれながらに高いEQを持つ人はいるが、そうでない人も高いEQを身につけることはできる。そこで、EQを鍛えることが重要になってくる。
EQと仕事の成功の関係
EQは仕事の成功にどのくらい影響するのだろう? 端的に答えれば、「ものすごく影響する」。EQを高めることで、ひとつの方向に力を集中でき、最高の結果が生まれる。EQとその他の33のスキルを検証したところ、時間管理や意思決定やコミュニケーション力といったほとんどのスキルは、EQに含まれることがわかった。さまざまな重要なスキルの土台になるのがEQである。
あらゆる職種において、成果の58パーセントはEQによって生み出されている。「職場で成果を出せるかどうかはEQによって決まる」と言っていいだろう。リーダーシップと個人の成功の原動力になっているのも、EQだ。
今のEQスコアが高くても低くても、訓練によって高めることができる。また今のスコアが低い人も、同僚に追いつくことができる。オーストラリアのクイーンズランド大学経営大学院で行われた研究では、EQが低く仕事の成果が上がらない人たちも、訓練によってEQを上げるだけで優れた同僚に追いつけることがわかった。