※本稿は、川端理香『筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
鶏肉や卵は食べ方を間違えると逆効果
最近のサラダチキンブームが代表するように、筋肉をつけたいと食事はもちろんのこと、効率よくたんぱく質をとって筋肉をつけようと間食でも食べている人もいることでしょう。
もともと肉の中でも鶏肉は筋肉をつける食材として認識している方が多く、同様に卵の白身も筋肉をつける材料として人気です。
どちらも高たんぱく低脂肪の代名詞のような食材で、よくアスリートが肉体改造として食べている姿を、メディアを通して見る機会もあることでしょう。
しかし、「一生懸命鶏肉や卵を食べているのに、筋肉がつかない」と思っている方はいないでしょうか。もしくは、おなかが張る、逆に便がゆるい日が多いだけでなく、この食事をしてから疲れがとれないなどといった症状が出ていないでしょうか。
筋肉をつけたいと、このようなたんぱく質中心の食事に変えている方はトレーニングも本格的におこなっているため、疲労が起こるのは当たり前だと思っているかもしれません。
ですが鶏肉や卵は、とり方がよくなければ逆効果になることもあるのです。
これらの食材に限らず、筋肉をつけるといわれている食材を、効果的に食べられていな方も多いのです。
しかし、食べ方を少し工夫するだけで効果的に筋肉を作ることはできます。
筋肉はたんぱく質だけでできているわけではない
筋肉をつけたいからと、たんぱく質が多く含まれているとされる食べ物ばかりとっていてはだめです。コンビニなどでも手軽に買える「サラダチキン」や「卵の白身」ばかり食べているだけでは効果をアップすることはできません。
なぜなら、筋肉はたんぱく質だけでできているわけではないからです。
商品を購入するときに、「商品名」で選んでいないでしょうか? たとえば、サラダチキンはメーカーによって原材料も栄養価もまるで違います。鶏肉だと思って食べているかもしれませんが、実は鶏肉だけでできている市販のサラダチキンはほとんどありません。
サラダチキンは、鶏肉、塩、でんぷん、ホエイパウダー、チキンエキス、マルトデキストリン、脱脂粉乳、ブドウ糖、卵白、酢、増粘剤、リン酸塩、トレハロース、乳化剤、グリシン……こうした多くの原材料でできています。
糖質制限をしているといって、サラダチキンだけ食べているという人がいますが、でんぷんやマルトデキストリン、ブドウ糖などは糖質です。また、含まれる塩分は1個1グラム程度のものから4グラムのものまであります。これだけ原材料が違うので、サラダチキンといっても、1個のエネルギーも約100~150キロカロリーと幅があります。さらに、たんぱく質量を増やすために、ホエイパウダーや卵白、脱脂粉乳なども使われていることもあります。サラダチキンとひと口にいっても、実際はさまざまなのです。