最初から「予算内に収まらない」を承知の予算か
最も重大なのは「桜を見る会」のために確保された予算の額と実際に使った額の乖離だ。
毎年の予算額は13年が1718万円。14年から19年までは1766万円で、ほとんど変化ない。昨年は1766万円の予算で5229万円使ったのだから、結果として予算として確保した額の約3倍のカネを使ったことになる。
本来であれば、支出はあらかじめ決められた予算の範囲内に収めるのが常識だ。状況の変化などによって、予算内に収まらないことはあるだろうが、「3倍」は異常としか言いようがない。
今年の「桜を見る会」の契約状況をみると、会場等設営業務の契約額は1814万4000円。飲食物関係の契約額は2191万3232円。この2つを足しただけで約4000万円になる。主要2項目の契約段階で予算額を大幅にオーバーしているのだ。過去に使った実績も無視して、最初から「予算内に収まらない」のを承知の上で予算を組んだ可能性が高い。
「一般共通経費」というイレギュラーな形で捻出
予算をオーバーした部分については内閣府の「一般共通経費」を充てているという。使途が分かりにくい別の「財布」を使って「桜を見る会」の経費があてがわれているということのようだ。
自ら主催する会合の出席者が増え、額も膨らむ。そして正式に多くの予算を組むこともなく「一般共通経費」というイレギュラーな形で捻出をする……。
このような細かな方針まで安倍氏が指示しているということはないだろう。恐らく、安倍氏を喜ばせるために官僚たちが気を回して少しずつ派手にしているのだろう。
そう考えると、「桜を見る会」の急膨張は、安倍氏の意向を官僚たちが必死に忖度して、出来上がっているといえるのではないか。現在の「安倍1強」体制の集大成ということだろうか。
(写真=EPA/時事通信フォト)