まず、同居する子供が就職したら、一人暮らしに必要なほどの生活費を家計に入れさせましょう。

このときに、子供名義で貯金をしたり取り分けておいたりすると、子供に「お金を支払った」実感がないため、効果がありません。私自身は、娘が就職したときに家計に入れさせたお金の一部を、その日のうちに外食代として使ってしまいました。娘には「鬼!」と言われましたが(笑)、そう言われるくらいでいいのです。

親亡き後に備えて、ご飯くらいは自分でつくれるように

私は引きこもりの相談を受けることも多いのですが、そういうときによくアドバイスするのが「昼夜2食のうち1食は親が用意せず、自分でつくらせてください」ということです。親亡き後に備えて、ご飯くらいは自分でつくれるように促すことが、本当の愛情だと考えるからです。

A子さんのケースでは、何もしなければ遠からず家計は破綻します。それを防ぐには、貸しビルを売り払い、それを機に同居を解消するしかないでしょう。同居したくてもできないような小さな部屋にA子さんが引っ越し、娘と孫たちが働かざるをえない状況をつくるのです。

すぐに自立するのが無理なら、部屋を借りさせて2年分だけ家賃を先払いするといったサポートをしてやればいいでしょう。その覚悟をA子さん自身が持つことが肝要です。

打つべき一手:「鬼」となる覚悟で同居を解消、自立した大人に育てるべし

畠中雅子
ファイナンシャルプランナー
「高齢期のお金を考える会」主宰。『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』など著書、監修書は60冊を超える。
 
(構成=久保田正志 撮影=南雲一男 写真=iStock.com)
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