イベントを行う人によってまったく違う客層になる

ふたつめが、コミュニティとしての側面です。SNSを見て、しょぼい喫茶店の背景を知っているお客さんや近所の常連の方が来てくれている時です。時間帯だと、週末や平日のティータイムが多いです。この時は和気あいあいとしていて、自分の家に知り合いを招いている感覚です。

注文の時も「今日は何ができる?」と聞かれたり、少し失敗しても「いいよいいよ」と言ってもらえたりするので、肩の力を抜いて営業することができます。お客さんと店員の境界が曖昧になるので、話しているうちに「じゃあ週末にその企画でイベント営業をやってみよう」という流れになったりします。

この時間帯は、しょぼい喫茶店を目指してくる人が多いので、決まった時間に確実に店を開けておくことが大切だと思います。毎日決まった時間に開け続ける積み重ねで、少しずつコミュニティが形成されていくのだと思います。

3つめが、イベント営業としての側面です。しょぼい喫茶店では、週末に間貸し営業をすることが多いです。この時は、イベントを行う人によってまったく違う客層になります。僕や妻が営業をしているだけでは届かないであろう層のお客さんたちが来てくれます。Twitterで「やってみたいです」とメッセージをくれる方もいますし、常連の方からの提案もあります。

経営の勘所は、立地に合わせた空間の活用

この3つの側面の割合を、業態や立地に合わせて変動させていけば、しょぼい店の運営ができるのではないかと思います。

例えば、人通りの多い場所で路面店だったら普通の飲食店の側面を増やしたほうがいいですし、逆に人通りがそれほどない場所は、コミュニティやイベント営業の割合を大きくしたほうがいいと思います。普通の飲食店だけでやっていくのも、コミュニティだけでやっていくのも、単体では難しいなと僕は感じました。

普通の飲食店は、やはりそれなりのクオリティが求められ続けますし、コミュニティは常連さんがついてくれるまでが大変で、ついてくれたとしてもそれだけでお店の経営を成り立たせていくのは難しいです。なので、店という空間にいろんな側面をもたせて、空気を変化させながら運営していくのがいいと僕は思います。